MUKU-DATA クネクネ曲線のある片耳付きカウンター 杉材

先日、木材倉庫にて設計士さん、オーナーさん、現場監督さんとで
ある程度候補にあがっていた材の最終選定を行い
それぞれの木のどこをどう使って取り付けるか・・等の作業を行った。
その中の一つに長尺のカウンター(5.4m材)があったのですが、

見積り時の当初は杉一枚物の6m長尺の木目は笹杢で状態の良い適材があったので
それで見ていて検討していただいていた。
代替案として考えていた中の一つにこの4m材の杉も提案させていただいた。

杉の木の特徴は地面から天へ向かって真っすぐに育つ素直さ。
適時に間伐を行い更に上へと成長していく。
丸太を製材すれば板目は真ん中に現れ元から末へ一直線へ伸びていく。
そんな真っ直ぐで素直な杉の印象だが(多分、真っ直ぐ上へと成長する特性はあるにせよ、植林によって間伐、枝打ちと人の手が入っているから
一層と真っ直ぐに上へ向かって育つのかもしれないが)

今回選んでいただいた杉はちょっと趣が違っている。
丸太はデコボコと凹凸があり、随所に大きな節が残っている。
厳しい自然の中で人の手を介さずに自由奔放に育ってきたのだろう。。。
佐渡の天然林を見に行った事はないが、佐渡に限らず
自然に育った杉の木は、こういった形になるのかもしれない。
整備されていない山で時々大きな天然杉に出会う事もあるし
時々市場に整然と並べられた丸太の中で、端っこに凸凹した杉の丸太が居る事もある。

杉の主な用途は建築用材木なので直材、癖が少なく節も少なければ尚良し、
節はあっても生き節・・
建築用木材として仕入れる際の材木屋の視点はその辺を重視する。

この丸太は15年~20年ほど前に、曲線があって大きな節のある
カウンター材を持っていると何かに使う事があるかなぁ・・と思って
製材して倉庫に寝かせていたもの。

当初見積もりでみていた6m一枚物笹杢の良材と比べると
4m2枚でも板の価格自体は半分以下
4m+2mで途中繋げるので、ジョイント部分には段違いができないように
雇い実加工、一部抜け節があったので3カ所埋木をすることにしている。
加工費は一枚板物より少し余分にはかかるけど
全体として当初より価格は抑える事ができている。
尚且つ残り2mの材でベンチの製作を検討中。

まぁ・・価格も大切な事ではあるけれど
何よりもこの自由にウネウネした片耳付きのカウンターと大きめの節が
ここを訪れる人たちの目を楽しませてくれて
ワクワクした気持ちになるんだろう事が想像できる。

こっちの杉の方が良かった、これを選んでいただきありがとうございます
な気持ちかなぁ・・

耳のある向かい側は壁内へ入るのでなるべく巾を残すように
慎重に少しづつ片耳を擦り落とした。